国府達矢、彼のことを知ったのは「ロックブッダ」というアルバムがきっかけだった。
これがなんと15年ぶりの新譜だというから驚いた。

折り重なるギターに乗る、語りのような歌のような言葉には表現の垣根がない。
"ブッダ"という名前のとおりギターが奏でるコード感から、仏教的・東洋的な雰囲気をまとっているように感じる。
どこか民謡的な印象も浮かび上がるから、いろいろな要素が混ざり合って複雑な響きだ。
3.11の東日本大震災以降、諸行無常な世を思い考え方が変わったというのがインタビューでの印象だ。
わたしは彼自身の心の軸をそのまま音楽として吐露しているように思う。

この葛藤の連続がいつか誰かのためになることを知った
正面から真正面から 叫ぶ
そうだ あらゆる隔たりを超えてゆけ
「薔薇」より

ぼくらは変わりつづけた 変わらずにいるために
変わっていく その度に 目印をつけていくんだ
「アイのしるし」より

心にのしかかるような種類の重さではなくあくまで軽やかでポップな音楽だ。


根底に流れているのはオルタナティブロックでありながら、同じリフのループやキラーフレーズ以外の自由な音の遊びはフュージョン的な展開も感じさせる。
さりげないギターのフレーズの輪郭もくっきりとした存在感をもってシンセと絡み合っている。
独特なコード感も手伝って、いとも簡単に異国に迷い込んだような気分にさせる。

放つ言葉のアクセントも楽器的な響きがある。ボーカルがスキャットのようにも打楽器のようにでも自在に暴れられるのは、タイトな低音の下支えがあるから。
熱を帯びていくギターと高揚していく低音の動きが重なり合って、そのうねりが確かなものになっていく。
こういうギターの音色に弱い。

シカ
曼荼羅って言ってる。タイトルの印象そのまんまや!

飾り気なし・若さと初期衝動だけのカードで勝負!というようなロックバンドは元気をもらえるけれど、たまには違ったカードを見たいときにはとてもフィットしてくれる音楽だ。

今年はあと2枚のアルバムリリースが予定されている。

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現場からは以上です。

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