前回セットリストを中心にサカナクションのライブレポを書いた。

私の持病である”歌詞に過剰に感情移入してしまう病”を差し引いても、今回のSAKANAQUARIUM2018はすごく良いライブだった。

好きなバンドだから良いライブと評価してしまうのは当然かもしれない。
なぜこんなに刺さったのかちゃんと考えてみた。

結論からいうと、
どうしようもなく心に刺さるライブの条件は、

  • かっこいい魅せ方
  • 観客を楽しませる仕掛け
  • 自分たちの理想を追求している姿

ということに尽きる。

この3つの相乗効果で心が動かされるんだと自分のなかで納得したので、順に話していきます。

かっこいい魅せ方


まずサカナクションは前提として演奏が上手いし圧倒的にかっこいいんですよ。
「圧倒的にかっこいい」=かっこいい魅せ方にこだわっているといってもいいかもしれない。

サカナクションは楽器から出すサウンドを生かしながら、照明・映像・音響を連動させた空間をつくるというスタイルをとっている。
バックで映像を流すとか演奏以外の要素を加えれば、もちろんステージに迫力が出る。
ただそれは両方が中途半端になった瞬間にダサくなる諸刃の剣。
だからバンドとしてまず圧倒的にかっこよくなければ成立しないスタイルなのだ。

演奏技術の土台があって、それをを生かすための演出。
演出はあくまでエフェクターで、メインである演奏の魅力を増幅させる装置にすぎない。
つまり照明や映像で世界観を作り込んでるけど、もちろんメインの演奏はバチっと決めているよ!ということ。

ライブでの音作りについては前回の記事でも書いています。

特に照明はプログラミングして演奏にあわせて切り替えられるように作り込まれている。
だからただ演奏するよりも緊張感があると思うのだが、そんなそぶりは全然見せない。

そんな姿はさながら、水面下で懸命に足を動かしながらも涼しい顔で泳いでいる水鳥のよう。
プロとして当たり前にやってみせる姿にまず心動かされるんだよ。

観客を楽しませる仕掛け


演奏は上手いし演出もかっこいい。でもそれだけじゃない。
一郎くんはたびたびライブはストーリーが大切だと言う。
その信念のもと、続きが気になって仕方がないようなストーリーを毎回ライブでみせている。

だからライブにはストーリーに引きこむための工夫が凝らされている。

まず、抑えめな曲を続けてやっておいて徐々に盛り上げ、キラーチューンで爆発させるというセットリストの基本的な流れは当然踏んでいる。
そこから一歩進んだところで、ファン心理をくすぐられる選曲というのがある。
それはたとえば過去の演出のオマージュであったり、マニアックな曲をはさんでくるというものだ。
知っている人はすぐ反応できて誇らしげな気持ちになれるだろうし、知らない人も「こんな曲あるんだ」と新しい側面を見ることができる。

そして最大の仕掛けは、曲のつなぎだ。
基本的に曲と曲の間で音を途切れさせず、次の曲へ突入していく。

これはロックとダンスミュージックの融合をライブで体現する手法だけど、次にどんな曲がくるのかと本当にワクワクする。

次々に曲をやり、クールダウンする暇を与えない。我にかえる間もなく、あっという間に時間が過ぎている。
一緒に行った友達も「時間を忘れて観たの初めて!」と興奮気味だった。

だから今度はどんなライブなんだろう、と終わる前から次が楽しみになる。

自分たちの理想を追求している姿


サカナクションはデビューから早い段階で一定の成功をおさめてしまった。
(紅白歌合戦出場、ドラマCMタイアップ、日本武道館公演、など)

だからこそ「これ以上たくさんの人に伝える必要があるのか?」という思いから、自分たちがやりたいことを追求していける強さがある。

ライブ会場のどの位置にも良質な音を等しく届けるために機材やシステムをどんどん使う。
映画主題歌などのタイアップをやる場合は作品の世界観に沿って一から書きおろす。
メンバー5人全員が納得するものができるまでアルバムを出さない。

これだけみると気難しい職人のような印象さえ受けるが、ライブで常に試行錯誤している。

自分たちのやりたいことを追求している姿というのは、とても魅力的に映る。
そこに宿る思いや熱量は本物だから胸を打つのだ。
いろんな手を尽くして音楽を伝えようとしてくるからサカナクションが好きなんだ。
クールな演奏なのに圧倒的な熱量で向かってくるからサカナクションが好きなんだ。

振り切って自分のやりたいことをやるには勇気がいる。
やりたくないことに折り合いをつけないといけないから。

自分がかっこいいと思うことを堂々とやる姿からは、そのジャンルに関わらず受け取るものがある。
このまま頑張ればいいんだと肯定してくれるように思える。

自分を貫くことはただ尖って突き抜けるのではなくて、相手も包み込んでその気にさせてくれることなんじゃないかと思う。

私は単純だから明日からも頑張れるって思えてしまったよ。
自分勝手に受け取りすぎかもしれないが、そのくらい心に刺さるライブをやってくれる。

ただのCDの再現じゃないエンターテイメント。
心のどの部分が呼応するかわからないけど、動かされることは間違いない。

音楽好きを名乗っているのにあのライブを観て心が動かない人は嘘だ、とすら思う。

現場からは以上です!

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