メンバーの総意によるBiS解散。突然の発表があったのは3月末だった。

2018年は人気投票でメンバーが決まる1軍2軍のリーグ制を導入していたBiS。ゆえにどうしてもグループとしてのまとまりが弱く、今ひとつ勢いに欠ける印象だった。

5名の戦力外通告、メンバー脱退、69時間連続ライブ、合宿オーディション。
これら動向を追っていくなかで、ここ1年は特にメンバーの心の折れる音が聞こえてきそうだった。

解散という突然の報せにはもちろん驚いたけれど、これまでの道のりを考えるとすぐに納得感のほうが優ってしまったのだった。

「いまの9人でやっていく覚悟ができた矢先、マネージャーに突きつけられた強制脱退。一人でも欠けるならば解散という形で落とし前をつけることをメンバー全員で決めた」
くわしいことは全く分からないが、現在に至るまでを考えるとこのようないきさつではないかと察する。

解散ツアーを見届けた今、率直な感想を書き留めてみたい。

そしてBiSについてはこちらを読んでみてほしい。

まもなく解散してしまう今の体制は、第2期BiSと呼ばれる。狂信的な熱を生んだ第1期BiSと、すでにオーディション開催が決定している第3期BiS。
その狭間でのライブ、といった状況だ。

CHANGE the WORLDで涙が止まらない

絶対に
君を救うんだって
信じてなきゃ
何にも始まらないんだ
笑われたっていい
どうなったっていい
絶対に世界変えようね

この「CHANGE the WORLD」や「レリビ」「NAKODUB」が示すように、BiSは常に音楽で世界を変えようとしてきた
"いまのBiSでは、歌詞のような使命を全うすることはもうできないのかもしれない"
"このメンバーたちがもうすぐBiSではなくなってしまう事実は覆せない"
気づいたら涙が止まらなくなっていた。

湿っぽさとは無縁のポップな曲調。
だが今日のメンバーは笑顔のなかにも鬼気迫るものがあった。火に薪をくべるように心を燃やしてステージに立っていたのだと思う。

曲を通じてBiSの悲喜交々がわたしの心のなかでさらに増幅していく。BiS自体は人を変えて続いていくからこそ残酷に響き、今のメンバーの歌が爪痕のように心をせつなく騒がせていく。

降りかかる課題。目指す姿と現実のギャップ。つきまとう悩み。こうしてBiSはいつまでも不完全なままだ。この先もきっとそう。

でもそんな不完全でさえ純度120%の本気さで乗り越えようとするのがBiSだから、夢中になってしまうのだ。「肉を切って骨を断つ」を体現しながら、そんなに傷つかなくていいのにBiSはいつも悩んで傷ついている気がする。

冷静に外から見て、茶番のように思われてもかまわないと思った。いい大人が一緒に泣いて、笑ってしまうことがこんなに幸せに思えるとは。

感性が死ぬくらいなら熱狂できるほうが幸せだとBiSのライブで思い知らされる。これまでも大好きだったし、これからもたぶん大好きだ。

ペリの弾けるような笑顔。
ユイナミューはひたすらにキュート。
アヤハナの刺すような歌声に刺激され、キカゴジの狂気をはらんだ歌と動きにゾクゾクする。
ムロのどこか中性的な表情に目が離せない。
パンルナの大きく緩急のあるダンス。
みんなべったりと汗で張り付いた重い髪も振り乱して踊り、叫ぶ。

そうやってライブのあいだ、メンバーが放つ気迫にずっと圧倒されていた。完成しそうになると崩されることがわかっていても、目の前にいるBiSはビリビリと張り詰めていてめちゃくちゃかっこいい。

去っていった過去のメンバーのことも思い出し、ステージを見ながら9人のこれからを願わずにはいられなかった。

だから、この曲だけでもいいから聴いてほしい。

ないものねだりが人生
そういうもんじゃない?

結局2時間弱のあいだ、メンバーは水も飲まずMCもなしで止まることなくステージを駆け抜けた。
ステージだけですべてを伝えようとする覚悟の現れだったのではないかと思い至ったとき、再び涙がすぐそこまでこみ上げてきた。

解散に向かって身も心も絞り切るようなステージを見せてくれた第2期BiS。このストーリーはまもなく終わろうとしている。

これがわたしにとって最後のBiSだった。

セットリスト

Are you ready to go? TOUR in 名古屋
01:Human after all
02:Happy Birthday
03:Not Special
04:CHANGE the WORLD
05:gives
06:twisted grunge
07:ミステリアスホール
08:SAY YES
09:Never Starting Song
10:NOT the END
11:ぎぶみあちょこれいと
12:ロミオの心臓
13:明日が来るなら
14:NAKODUB
15:SOCiALiSM
16:Did not
17:I can't say NO!!!!!!!
18:WHOLE LOTTA LOVE
19:Don't miss it!!
20:TiME OVER
21:アゲンストザペイン
22:YPP
23:Are you ready?
24:BiSBiS

いつか"アイドル"とか"風変わり"だとか、そういう枕詞がいらないくらいBiSが有名になる未来を願って。

おすすめの記事