分からないことだらけで不安なまま始まってしまう、出産からの子育て。
「なんだ、私が悪いんじゃないんだ...!」
そう思えるだけで肩の力が抜けます。
今回は育児に疲れた心をラクにしてくれる本を紹介します。
出産する前に予習しておきましょう。
客観的な事実は産後も心のよりどころになります。
子育てを科学する
1冊目はこちら。
「ママたちが非常事態!?最新科学で読み解くニッポンの子育て」
NHKスペシャル取材班
誰かに子育てのヒントを求めても、
「今はガマンするしかないよ」
「そのうち寝てくれるようになるから」
「イヤイヤ期だからしょうがない」
という、頼りない返事が返ってくる。
赤ちゃんにまつわる現象について納得感を持って理解したい。
この本にはその答えがすべて書かれています。
たとえば、夜泣きはなぜ起こるのか?
胎児は母の体内の酸素を消費して生きています。
日中は活動時間帯であるために母体は多くの酸素を必要とします。一方、夜は寝ているために酸素の消費量は下がります。
つまり、胎児は母体の酸素消費量が減る夜に、よく目を覚まし、酸素を使って活動していることになります。
夜によく目を覚ますという胎児特有の睡眠は、母に負担をかけないための仕組みなのです。
そういうわけで、夜泣きは胎児期の睡眠サイクルが大きく影響していることが分かりました。
赤ちゃんは未熟な脳で生まれるので、生まれてすぐは胎児期のサイクルを引きずっています。
昼夜の区別もついていません。大人と同じような睡眠サイクルになっていくのに数ヶ月かかります。
この事実を知って、本当に気が楽になりました。
他にも、
- ママ友を求める理由
- わが子をかわいく思えないのはなぜ?
- イヤイヤはなぜ起こるか
- 幼少期の脳のある部分を調べれば、将来の財産や健康、犯罪率までもが予測できる?!
- 脳の機能を鍛えて高めるトレーニングの方法
- 夫に対してイライラするのはあるホルモンのせい
こういった内容に対する答えが書かれています。
「科学」というと無機質で冷たい印象もあると思うのですが、
心に前向きにスッと入ってきてしまえば、こんなに心強い味方はいないと思うのです。
科学に裏付けされた客観的な事実が知りたい方におすすめです。
マタニティ×古武術?!
2冊目はこちら。
「マタニティ古武術」
若林理砂
一見、結びつかない「マタニティ」と「古武術」の取り合わせです。
この本では、わたしの臨床経験からの東洋医学的な養生法と、甲野善紀先生に学んだ古武術の身体操作法の二つの視点から妊娠出産を取り扱っています。
と、本の冒頭にあります。
古武術的な身体操作法の特徴は、無理のないカラダのつかい方と最小限の力で最高のパフォーマンスを生み出すというところにあると思います。
そう記されている通り、
古武術的な観点から、妊娠中から出産まで使える
- 呼吸法
- 体の使い方
- お灸
- トレーニングの方法
- お風呂でのエクササイズ
などについて書かれています。
人間の一生のうち、「死」を迎える準備の最たるものが、子どもを産むことだと思っています。
産むこと=自分が死んだ先の未来を確定させることだと。
妊娠は「命」そのものを考えるきっかけになる。
子どもを通して、いつか訪れる自分の死についてうっすら想像する、家族と話す。
いきなり真正面から受け止めるには少々荷が重いので、
もう少しライトに、子どもを育て上げるための資産運用や保険などライフプランを確認する。
そんな機会でもあると思います。
また、育児についての著者の考えはこちら。
どっちかが死ぬまで続く、何物にも代え難い関係なのだろうと思います。
そのくらい永くに渡る関係が、たった今ここで起きている、ミルクがいいのか母乳がいいのか、分娩台で産んだのか助産院なのか自宅出産なのか、そのほか諸々のお産前後にまつわる出来事で決まってたまるか、って思うのです。
(中略)
子どもとの関係は一生ものです。
毎日毎日をどうやって切り抜けていくかを迫られているお母さんたちには、「こうしなきゃダメ!」「それは間違っている!」って言葉は最悪です。
周りからいろいろ言われるけれど、産むのはお母さん自身なんです。
そもそも「子どもを持たない」ことも選択肢の1つです。
「人それぞれ」の中で、自分はどうするのか主体的に選んでいくことが大切だと書かれています。
(同時に、出産はリスクがあるからこそ自分の願いどおりにいかない難しさについても語っています。)
育児書にありがちな”こうすべき”がない。そこがこの本の良いところ。
著者も出産の経験があり、淡々と事実と体験のみが書かれている。
そして古武術という切り口でざっくばらんに語られているので新鮮です。
この本の内容を簡単に言えば、
「どんな方法でも良いと思うけど、ひと昔前より産むという面での身体の力は衰えている。
自分のバースプランがあるなら、出産に向けてカラダを準備して作っていきましょう!」
ということです。
笑える出産エッセイ
3冊目はこちら。
「そういうふうにできている」
さくらももこ
ちびまる子ちゃんの作者が自身の妊娠・出産について書きつづったエッセイ。
つわり、便秘、マタニティーブルー。
妊婦が体験するフルコースについて面白おかしく綴られています。
つわりの時期。
「冷静な思考部分」が「くじけそうな感情部分」に対してゲキを飛ばす、というようなやりとりが私の心の中で展開されていた。
自分の変化にも戸惑うし、周りからも声をかけられるし、表に出さなくても気持ちの上下は大きくなりがちです。
この葛藤の描写にはとても共感しました。
私も子供もお互いに必死であった。
私は”死なすまい”と思い、子供は”死ぬまい”と乳を吸う。
実に生々しく、ヒトは単なる動物にすぎないとあらためて実感した。
(中略)
私は無言で赤ン坊に乳を与え続けた。
そこには聖母子像のような微笑みや暖かさなどなく、異常な緊張感と切迫感が漂っていた。
この本を読んでいると、ヒトの「情けなさ」「人間くささ」が随所に出てきます。
それがあまりにも切実だから思わずクスリとしてしまう。
次々起こる変化にうろたえながら、泣いたり喜んだり悟ってみたり。
そして経験した出産から、「脳とは」「心とは」「魂とは」と考察しています。
私自身も経験してヒトが生まれる不思議を目のあたりにしました。
みんな当たり前に産んでるけど、ゼロから命が生まれるのはすごいことだな、とあらためて思うのです。
そして、人間の手が及ばない領域があるのかもなぁと思うのです。
笑えるなかにもいろんな気づきがある、そんな本です。
【まとめ】本は不安に寄り添ってくれる
あれだけ死闘だと思った出産は、長い育児の序章に過ぎなかった。
退院して赤ちゃんと24時間向き合うようになってからが本番だと痛感している。— 炭酸 (@north_b77) 2017年12月12日
退院してきて24時間子どもと向きあうようになって、手探りで子育てをしていくのは想像以上にしんどいです。
なぜなら「これでいいのだろうか・・・」の連続だから。
自信はあとからついてきます。
だからこそ、自分を励ます言葉や知識を持っていることが大切なのです。
今回紹介した3冊の本が、あなたのお守りになりますように。
また、「自分を励ます言葉を持っている人は強い」という内容の記事も書いています。
よろしければこちらの記事もお読みください。